ホームヘルパーは何をしてくれますか。
介護保険における訪問介護では、ホームヘルパーが利用者の自宅を直接訪問して、入浴、排せつ、食事等の介助などの身体介護や調理、洗濯、掃除等の家事といった生活援助を行います。
訪問介護員ができること 訪問介護員ができることには「身体介護」と「生活援助」があります。ここでは、それぞれの内容について説明します。また、この2つ以外には訪問介護員が運転する車への乗降車や病院での受診手続きなどを介助する「通院等乗降介助」も行うことができます。 排泄、食事、入浴などの「身体介護」 身体介護とは訪問介護員が利用者の体に触れて行う介助を指します。具体的には食事介助、入浴介助、排泄介助、歩行介助、さらに着替えや洗面、車いすなどへの乗降などが挙げられます。 掃除や買い物などの「生活援助」 生活援助は利用者やその家族等が行うのが難しい日常の家事全般のサポートを指します。具体的には掃除、洗濯、調理、食事の用意、ゴミ出し、布団干し、買い物、薬の受け取りなどが挙げられます。
●身体介助 身体介助は、介護職員が家庭を訪問して、被介護者の身体に直接触れながら行う介護サービスです。 具体的には、食事中の手伝いや見守りを行う「食事介助」、お風呂に入る際の手助けや洗髪、身体の清拭の世話をする「入浴介助」、車椅子や車への乗り降りなどの手伝いを行う「移乗介助」、おむつ交換などの「排泄介助」、床ずれ(褥瘡)予防や防止のために体位を変える「体位変換」などが挙げられます。その他にも、「衣類着脱介助」「散歩補助」「口腔洗浄」など、被介護者の身体や精神状態に対応したケアを行います。
●生活援助 生活援助とは、被介護者が一人暮らしであったり、家族や本人が何らかの理由で家事を行えなかったりする場合に、必要な身の回りの世話をしながら日常生活をサポートするサービスです。 具体的には、食事の準備(調理・配膳など)、掃除・洗濯・ゴミ出し、日用品などの買い物代行、服の補修、部屋の片づけ・整理整頓などが挙げられます。 しかし、訪問介護は家事代行ではないため、他の家族の部屋掃除やペットの散歩、来訪者への接客など、被介護者以外の人に向けての世話は対象に含まれません。
前提として、生活援助が行えるのは、次の3つの場合に限られます。利用者が一人暮らしの場合、利用者の家族等が障害や疾病を持っている場合、家族等に障害や疾病がなくても同様のやむを得ない事情よって家事が困難な場合です。これらのどれかに当てはまらない場合は生活援助を行うことはできません。 また、利用者が使用する居室以外の掃除、来客の応接などの直接、本人を援助するわけではない行為、大掃除や庭掃除などの日常的な家事の範疇を超える行為、ペットの世話や金銭・財産管理などの行わなくてもとくに日常生活を送るのに支障が生じないと判断される行為も、訪問介護員が行うべき生活援助とはみなされません。
●通院時の乗車・降車等介助 「通院等乗降介助」のことであり、いわゆる「介護保険タクシー」と呼ばれています。 訪問介護事業者の介護職員資格を持つ運転手による送迎を受けられるサービスで、車への乗降介助や移動介助なども含まれます。 介護保険タクシーは要介護1以上の被介護者が対象で、介護保険が適用されます。 介護保険タクシーは、どこへ移動する際にも利用できるわけではなく、公的機関や金融機関での手続き、通院、日常生活に必要な買い物など、限られた用途のみに適用されます。 利用を希望するのであれば、あらかじめケアプランに組み込んでおく必要があるので、担当のケアマネジャーに相談しましょう。
訪問介護員は「医療行為」と「日常生活の範疇を超える家事代行」には携わることはできません。その理由は、訪問介護は介護保険に基づいて行うものであり、訪問介護員はあくまで「介護のスペシャリスト」だからです。また、医師法や保健師助産師看護師法の規定により、医療行為は緊急時を除いて医師や看護師等の医療職にしか行えません。 以下、訪問介護員にはどんなことができないのかを説明します。ただし、制限されている内容は市区町村によって異なる可能性があるので注意してください。
訪問介護員が医療行為(法律用語では医行為)に及ぶのは違法です。ただし、高齢化が進み、かつては医療行為として禁じられていたことが「医療的ケア」として訪問介護員にも認められるようになりました。本来は医療行為であっても、条件付きで認められているものもあります。具体的に見ていきましょう。 まず、訪問介護員には認められていない医療行為は、摘便、インシュリン注射、血糖値測定、医師の診断が必要な傷を消毒したり薬を塗ったりすることなどです。血圧は、測定するだけなら医療行為には該当しませんが、その数値から訪問介護員が勝手な判断をして何かしらの処置をすること、例えば服薬を指示するといったことは認められていません。 医師の診断や専門知識を必要としない医療行為については「医療的ケア」として訪問介護員でも行うことが認められています。例えば程度の軽い傷に薬や軟膏を塗ること、湿布薬を貼ること、目薬をさすこと、坐薬を入れること、市販の浣腸をすること、医師や薬剤師の管理のもと処方された薬を飲ませること、人工肛門の管理補助、導尿の補助作業などです。 また、痰の吸引と胃ろうなどの経管栄養については、定められた条件を満たせば、訪問介護員でも処置することができます。 なお、体温の計測や自動血圧測定器による血圧測定、軽微な切り傷・擦り傷・やけどなどについて専門的な判断や技術を必要としない処置をすること、などは原則として医療行為に該当しない身体介護の範囲内とされています。
訪問介護のメリット 被介護者にとって最も大きなメリットは、やはり「住み慣れた自宅で介護サービスを受けられる」という点でしょう。 高齢者にとって、慣れ親しんだ自宅を離れて新しい環境に移り住むことは大きなストレスになる可能性がありますが、訪問介護であれば自宅で介護サービスを受けられるため、そのような心配は不要です。 老人ホームなどの施設への入居と比較して費用が安価であることも、被介護者とその家族にとって大きなメリットです。 また、被介護者本人が自宅における生活を希望する場合、基本的にその介護の負担は家族にかかってきます。しかし、訪問介護サービスを利用することで、効率的にその負担を軽減させることが可能です。 増加傾向にある一人暮らしの高齢者にとって訪問介護は、身体介助や生活援助を受けられるだけでなく、数少ない話し相手と接する機会にもなります。離れて暮らす家族にとっては、健康状態や安否を知る有効な手段として役立ちます。
訪問介護のデメリット 他人が自宅を訪れるのを、被介護者が嫌がることがあります。事前に家族と被介護者との間でしっかりと意思確認を行い、被介護者になるべくストレスがかからない形で利用できるよう、精神的な環境整備もして参ります。
訪問介護でホームヘルパーが行える介護サービスは、ケアマネジャーが利用者さんの状態・状況に合わせて必要なサービス提供を計画した「ケアプラン」で事前に決められている内容です。 ケアプランに明記されていない内容について、急に利用者さんからお願いされてもサービスを提供することはできません。
上記に示した介護職員が身体介護や生活援助でできること・できない(やってはいけない)ことの範囲のなかでも、市区町村ごとに独自のルールが定められています。市町村ごとに、訪問介護ケアマネジメントツール、ケアマネジメント支援マニュアルなどの名称で訪問介護における生活援助の取り扱いにおける判断基準が作されています。。
介護保険法では対応できない生活支援ができるのが自費(介護保険外)サービスです。 一例として、以下のようなサービスがあります。 市区町村が実施する高齢者在宅サービスおむつサービス、配食サービス、訪問理美容サービスなど民間企業の介護サービスや高齢者支援サービス家事代行サービス、移送サービス、配食サービスなど介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)通所・訪問による活動援助サービスシルバー人材センターの家事・福祉支援サービス窓拭き、洗濯、掃除、買い物、通院介助、留守番、会話の相手など訪問ヘルパーができないような、「ペットの世話、庭の手入れ」などを、依頼することができます。